第1章 ブラック本丸へご招待
まぁ、人生には何があるかわからんもんやとは聞いていた。
齢29にして色々な経験をさせてもらってはいた。
もう気持ち的には人生2週半したような気さえもしてる。
ちょっとやそっとのことでも驚かなくなったし、
怖いだとか、緊張するだとか、そんな感情は無くなってしまっていた。
だけど、今回ばかりは驚いた。
今月に入って、
とあるBARをお昼間借りて
占い処をオープンした。
自分自身も占い師として働きながら、
他の占い師の先生も居て
【本日の占い師】ってな具合で
曜日ごとに変わったりする。
経営者としてしっかりしなきゃと、
目まぐるしく、看板作ったり荷物を運んだり
、受付にレジを教えたりしたのが、先月の話。
だいぶ慣れてきて、
ゆくゆくは占い喫茶を経営したいなー。
と思いを馳せながら、開店準備に勤しむ。
自分が出勤する時は必ず着物を着て仕事モードに入る。
場所が場所だし、顔の派手さから、どこぞのママに間違われるが、好きな物着てるんだからほっといてと開き直っている。
朝9時過ぎ、今日は受付は休みだったなーと早い目に出勤をし、店の外に看板を出して、掃き掃除をしていた時だった。
スーツを着た、若そうな男が近寄ってきた。
心做しか仰々しいようにも見える。
「苗字 名前様でございますね?」
その一言でお客様でないことはすぐに分かった。
「貴女を審神者に任命します。」