第2章 1日目 ―春日山城―
暖かく心地よいそよ風が、
城の廊下を吹き抜ける。
「まぁ!お似合いですよ、神楽様」
「あ……ありがとう、ございま……す」
この意味のわからぬ状況で、急にお似合いですと言われても、神楽はなんと答えたら良いのか分からなかった。
(なんで褒められてるんだ……)
春日山城に来るまでは、予定通りだった。
ここまでは良かったのだ。
……この状況はなんだ、と。
過去最大級にしっかり化粧をさせられ、豪華な着物を身にまとわされ。
前もって主から聞いていたのは、神楽は女中として春日山城に潜入するということ。
だが今は、明らかに女中としての扱いではなく、一国の姫のような扱いをされていた。
「あの、私……女中として──」
「女中だなんて滅相ない!神楽様には、姫様がぴったりお似合いでございます。」
(あ、やっぱり姫なんだ……ん?)
「…………私……姫、なんですか?」
「えぇ、そうですよ。神楽姫。」
(え、えぇぇぇ!?!)
神楽が人生で2番目に驚いた瞬間は、まさにこの時であった。