第1章 *声のボリュームは抑え気味に。【セベク・ジグボルト】
「おい!!人間!!!!また寝ているのか!!!」
耳元でズドーン!!とアホほどデカい効果音が聞こえた気がした。
そう、私とグリムはいつもこうやって起こされる。
「ふなっ!うるさいゾ!」
「授業中に寝るとはどういうことだ!!!!」
あくまでも怒られたのは私なのだが、びっくりしてグリムが反応している。
相変わらずの声の大きさだ、彼は。
「お前だお前!」
「い、いたい…せべくうう…」
そう、このバカでかい声の主、セベクはいつも私を起こす。
いや、起こしてくれてるのかもしれない。
だがその起こし方はこの有り様で、今も私の頬をつねっている。
そして力が強すぎる。
「はっ、若様を探さなくては!!!」
「あ、うん。いってらっしゃーい…」
ああ、やっと解放された。
セベクは足早に教室を出て若様とやらを探しに出掛けた。
いったいんだよなぁ、セベクの頬掴み…。
痛いなあと頬をさすっているとグリムが哀れんだ目で私のことを見てきた。
「お前…仮にも女なのに可哀想だゾ…」
「んねえ…、自分でもそう思う…」