第4章 夕虹
Satoshi
頭が痛いというニノは、結局夕方まで俺の部屋にいた。
彼が具合が悪くなることなんか今までなかっただけに、俺は盛大に心配した。
だが、
「送るよ」
と、言っても、
「……平気だよ」
とやんわりと断られる。
まぁ……ニノが買ってきたフルーツサンドは、一枚ちゃんと食べてたし。
顔色もそこまで悪くないかな、と、俺は、しぶしぶ引き下がった。
ちゃんと、寝ろよ、と声をかけたら、うん、と笑って帰っていったから……大丈夫だとは思うけど。
やっぱり二人で狭いベッドに寝てるからかなぁ……と、ちょっと反省した。
俺は別にどこでも寝れるし、むしろニノの体温が心地よく感じられて熟睡できるのだが……ニノはそうではないのかもしれない。
なんとかしないといけないかなぁ……
ベッドにごろりと横になった。
結局、ニノとうだうだすごした休日だった。
まぁ、もとがインドアな俺らだから全く気にならないけれど。
テーブルに起きっぱなしだったスマホに手を伸ばす。
画面を撫でると、朝からさわってもないそれには、ひとつのLINEのメッセージと、ひとつの着信が、残っていた。
マナーモードにしてたから気がつかなかった。
LINEは……
「……松本」
今日あいてますか。のメッセージに顔が強ばる。
昨夜のことを突っ込まれたりしたら……うまく嘘がつける自信がない。
申し訳ないが、気がつかなくて良かったかも……。
俺は、手早く、
『ごめん、今見た』
と、詫びるメッセージを送った。