第4章 夕虹
Nino
蒸し暑くて目が覚めた。
俺の背中側で、丸くなってすうすう寝てる智を起こさないようにそっとベッドからおりる。
昨夜の雨はまだ降り続いてるみたいで、もう朝9時だというのに外は薄暗い。
少しだけ窓をあけて、扇風機をまわし、部屋の空気を動かした。
小さなテーブルに起きっぱなしのペットボトルを手に取り、温いお茶を流し込む。
智の部屋に泊まった次の日は、朝寝する智のそばで、ゲームをしたりして過ごすのが常だ。
智が起きたら、ブランチに俺が買ってきたラーメンだったり、パンだったりを二人でかじる。
食が細い俺らだから、それだけで十分。
それから、俺は帰るのだ。
ちなみに今日は、この部屋の冷蔵庫のなかには、昨日買ってきたコンビニの新商品のフルーツサンドが入ってる。
サト喜ぶかな。
ふっ……と、笑いながら、ゲームの続きでもしようかと自分の携帯を手にとったとき、テーブルの上に無造作に置いてある智のスマホが、ポンと音をたてた。
LINEが入ってきたようだ。
珍しいな……こんな朝早く、と思って、何気なく画面に目をやった瞬間、ポップアップされた画面にその名前をみつけ、俺は息をのんだ。