第6章 春の虹
まともに図星をさされ、絶句してしまう。
なんで………
二宮くんが気になるのは紛れもない事実だけに、肯定も否定もできない。
………なんで、わかんだよ…
俺が、息をのんでるのがわかったのか、ヨコは一転して優しい眼差しになった。
そして、
「…………俺は、ええと思うで」
周りに聞こえないようにさらに声のトーンを落として囁いた。
「…松岡さんもきっと許してくれはるわ。相葉ちゃんが、死ぬまでこのまま独り身の方が心配やって」
「…………」
意外なことに、ヨコは智と同じことを言った。
「ニノは、ありゃ本気やで。見てて可哀想になるくらい健気やもん」
「………マジで?」
「……逆になんでわからへんの?」
ヨコが呆れたように眉を寄せた。
分かるわけなんてない。
二宮くんが俺を好きかも、だなんて、そんな都合のよい話あるわけないじゃないか。
俺らは、上司と……部下、で。
それ以上のことなんてなにもないんだから。
パソコンがスクリーンセーバーの画面になり、アニメーションが動き出すのをぼんやりみた。
そのとき、お疲れ様です、という柔らかな声が遠くからして、2人で振り返る。
外回りを終えた二宮くんが、入口から、こちらにむかって、歩いてくるのがみえた。