第6章 春の虹
そのとき、ピンポンと来客をつげるインターホンが鳴った。
「……………え?」
「………だれ?」
2人で顔を見合わせる。
横山さん……のわけないよね。
「………宅配便かな」
相葉さんが呟いて立ち上がり、モニターに向かった。
俺は、今のチクンを誤魔化すように、アイスクリームの残りに手をつける。
……なんなんだろうな。この気持ち。
チクンって、どういうことだよ。
「はい」
『雅紀さーん、あけてー』
!!!
突如、モニターから聞こえてきたその柔らかな声に、思わずスプーンを取り落とした。
「さっ…智?!」
『俺もいまーす』
松本の声だ。
焦った顔で、相葉さんが俺を振り返った。
俺は、咄嗟にフルフル首を振った。
会いたくない
俺の表情で察したのか、相葉さんは、俺の腕をつかんで、「きて」と、いちばん奥の部屋に連れていった。すりガラスになってる引き戸をすらりとあけると、そこは、相葉さんの寝室だった。
「しばらくここにいて。なるべく早くあいつら帰らせるから」
「すみません……」
「………こっちこそごめんね」
「っ……いいえ」
理由も知らぬままなんだろうけど、俺の様子から最善の対応してくれる相葉さんに、申し訳ないのとありがたいのとで、俺は頭を下げるしかなかった。