第6章 春の虹
「お邪魔します……」
「ふふ、どうぞ」
2度目の相葉さんの家。
最初に来た時は、ただただ緊張していたから余裕がなかったけど、今回はこの相葉さん家の心地良さに浸れそうな気がした。
玄関の不思議なオブジェも、ディフューザーから微かに香るエキゾチックな匂いも、部屋の照明器具も、オシャレなんだけどどこか温かくて。
マグカップにいれてもらったコーヒーも、抜群に美味しい。
俺がいつも飲んでるインスタントコーヒーとは、明らかに違うし。
香りを楽しんでいると、相葉さんは、キッチンから運んできたプレートを、俺の前に静かにおいた。
「はい。おめでとう。二宮」
「……わ」
さっきの店のチーズケーキに、生クリームとミントの葉が添えてある。
相葉さんが細工してくれたんだ。
もう、これは立派な店じゃん!
ちょっと感動しながら頭を下げた。
「…ありがとうございます…すげぇ」
「ふふ。こーゆーの得意なんだ。アイスクリームもあるからあとで出してあげるね」
さぁ、食べよう!と、フォークを渡される。
こんなにもあったかい誕生日は、近年ほかにない。
戸惑いながらも、俺は感謝の気持ちでいっぱいだった。