第5章 白虹
俺の視線に気づいた潤が、ん?と微笑む。
俺は、ううん、と首を振って笑う。
こういう言葉のないやりとりは、とても心が温まる。
外でやったらバカップルだけど。
俺は、またカフェラテに口をつけた。
心から大切だと思える潤と、これからもずっと一緒にいれたらいいな。
これが今の俺のささやかな願いだ。
「大成功~!」
雅紀さんが、大きなプレートに、たくさんの焼きたてフィナンシェをのせて戻ってきた。
「わぁーいい匂い!」
「うまそう!」
甘い焼き菓子の香りに包まれた部屋で、俺は、泣きたくなるくらいの幸せを噛み締めていた。
好きだよ。
愛してるよ。
ずっとそばにいてね。
……潤。
fin.