第5章 白虹
Jun
大野さんと二人で、雅紀さんちに遊びにいったときのことだ。
お茶を用意しにキッチンに入った雅紀さんを、手伝おうと追いかけていった大野さん。
その二人の会話が、たまたま聞こえてきた。
「そーいや……智、欲しいもの決まったかい?」
「え……まだ」
「早くしないと当日過ぎちゃうよ」
「……うん」
……欲しいもの?
盗み聞きしたわけじゃないけど、飛び込んできた言葉に、反応してしまった。
欲しいものって……と、はてなマークが浮かぶ。
そのまんま顔に出たのだろう。
俺の表情に気がついた雅紀さんが、にこりとして、
「26日は、智の誕生日だろう?」
「えっ」
は?!
聞いてないぞ!
俺の驚いた顔に、雅紀さんは変な顔になり、傍らの大野さんを見た。
同時に大野さんは、ばつが悪そうな顔で目をそらす。
「……松本くんに、まだ教えてなかったの?」
「だって……もうすぐ俺の誕生日だよ、なんて、自分からいうことじゃないし」
………………
奥ゆかしい大野さんならありえるけど、それは違うじゃん!
「…待って。待って。大野さん、それは教えてもらわないと」
俺が、割り込んだら、大野さんは俺をみて、口を尖らせた。
「そんなら……誕生日はいつ?って聞けよ。おまえから」
は。逆ギレ?
…………ちょっと待って俺が悪いの??