第4章 夕虹
「ばかって……」
「ばか……ばかばかっ」
唖然とするを通り越して、笑えてきた。
大野さんは、まるで意見が通らなくて癇癪をおこしてる、子供のようだ。
二個も上なのに。
「ふふ……俺、ばかなの?」
ちょっと、面白くなってきて、思わず笑ったら、大野さんも泣き笑いで、ばかってもう一回呟いた。
「まつもっ……と……」
「………ん?」
「あのっ……さ」
しゃくりあげながら言うものだから、落ち着かせるように背中をトントンたたく。
大野さんは俺の胸に顔を擦り付けてきた。
「俺の……こっ……と……好き……?」
「…………」
俺は絶句する。
どんな爆弾だよ。
昨日言って断られてんのに。
もう一回、胸抉られるの?俺。
「…………ねぇ……?」
上目遣いで見上げられた。
涙でしょぼしょぼした瞳。
赤い鼻。
迷子になった子供みたいな、力ない瞳が揺れる。
あー……もう……
しょうがないから、もう一回抉られてやる。
「うん……好きだよ……?ごめんね、まだ、あきらめられない」