第4章 夕虹
「……でも」
俺はこれまでのことを思い出して、唇をかんだ。
兄貴、言ってることと、やってることが違うじゃん。
大野さんに会うなだとか、泊まるなだとか、
想いを潰すようなこと……してきてんじゃん。
そう言いたいのに言えず、黙っていたら、目は口ほどにものを言うとは、よく言ったもので、兄貴は、俺の顔をみて何を言いたいか悟ったみたいだった。
兄貴はグラスを手に取り、残ってたビールを飲んで、俺をちらりとみた。
「まあ……そうは言っても、大野に関わってほしくない気持ちは……少しある」
そう、事も無げに言う。
……どういうことだよ
俺が不審な顔をしてると、兄貴は、仕方ないだろうと言う。
「分かるだろう。同性の恋っていうのは、リスクを伴う。理解を得られない人からは、心ない言葉をくらうことだってある。……これだけオープンな世の中になってるとはいえ、どうしたって、少数派だ」
「…………」
「俺は……お前が大野に本気かどうか試したんだ」
「…………え……?」
「どれだけお前が覚悟をもってるのか。または、大野に遊ばれてるだけではないかどうか、……見極めてた」