第1章 ららら
J
プロ集団である俺たちに、最近もうひとつ肩書きが増えた。
自分達のSNSであげた、最後の紙芝居集団の作品をスマホで流しながら、グラスをかたむける。
「……また見てんの」
「うん……」
「飽きないね」
「飽きない」
後ろからのぞきこみ、あきれたように呟くのは、年上の恋人。
その彼は、濡れたままの髪の毛を、カシカシとタオルでかきまぜながら、キッチンに向かうと、冷蔵庫から、ビール缶を取り出した。
プルタブをあけながら、ペタペタとこちらにもどってきて、俺の横にぽすっと座る。
風呂上がりの彼は、ほのかにあたたかく、体中からボディーソープの香りがして、すごく……いい。
いいってなんだ、って話だけど、このくつろいでるモードな彼が、俺は一番好きだ。
「なぁ……もしかして全作品見る気?」
「え?」
目線はスマホにおとしたまま、意識を隣に持っていってたものだから、気がつかないうちに、いつのまにか画面は自動的に次の作品にうつってる。
「……好きなんだね、紙芝居」
ふにゃ、と笑って缶をあおる彼をみて、俺は苦笑して画面をタップした。
「紙芝居……というより、紙芝居をしてるみんなが好きでさ」
「ふふ……わかるわかる。楽しそうだよねぇ」