第3章 ららら 3
「うん……いい絵じゃん」
俺が褒めてやると、潤はいよいよ嬉しそうに笑った。
心が込められてる絵って、やっぱり丁寧だし思いが伝わるものだと、思う。
生真面目な潤が、俺を思って描いた。
そこに上手い下手なんかなくて。
それだけで俺はなんだか、心が温かくなり嬉しかった。
「……額縁買ってきて、飾ろうかな」
呟いたら、
「え……それはさすがにまだ恥ずかしい」
もっと何作品か描いてからにして、と、あわてて、辞退するから、俺はくすくす笑って、潤の腰にするっと手をまわした。
そして自らその広い胸板に寄りかかると、潤は、応えるようにたくましい腕で俺の肩を引き寄せ、甘くささやいてくる。
「……なに?どしたの」
「……ん?」
あまり自分から甘えたりはしない俺だけど……。
たまには、素直に伝えてみよう。
キャンバスいっぱいのおまえの、好き、を受け取ったから。
「……好きだなぁ……と思ってさ」
ちらりと見上げると、一瞬見開かれた大きな目を細めた潤は、にっこり微笑んだ。
「……私を?」
「……他に誰がいんだ」
にやっと笑ったら、すごい力で抱き締められた。
……背骨が折れるかと思った。
fin.