第2章 ブックマン補佐の彼女①(ラビ)
(ラビの恋人になる人は、どんなラビを見れるんだろう…)
ラビの事だから、もっとカッコつけてエスコートして、大人ぶるんだろうな。
だってラビのタイプは未亡人だから。
まあ、10〜40歳までイケちゃう広範囲だけど。
傍から見たら、私達は恋人同士に見えるかもしれない。
しかし、私達はあくまでも兄妹や親友、幼馴染みのような関係だ。
チクチクと痛む恋心。
この想いさえ隠していれば、ブックマン補佐として当たり前にラビの隣に居られる。
「うおっ!あのウェイトレスめっさ可愛い…っ」
「…ふ〜ん」
「モロタイプ!ストライクっ!!♡」
「へぇ」
胸がズキンと痛む。
もうずっとずっと痛い。
多分、ラビが異性を意識するようになってから、私の胸は棘が刺さったまま。いや、むしろ、刺され続けている。
だけど 私達は幼馴染みで、兄妹で。
だから ラビにとって私は異性としては論外で。
女としてスタート地点に立つことすら許されない。
「…いつもそんな事言って!ほんっと!とっかえひっかえなんだから!女の子は大事にしなきゃ駄目だよ?!」
「なんか生々しいコト言わんで?」
「いやいや!大事なコトだからね?」
「アオイはオレの母ちゃんかっ!」
「私にこんな大きな息子はいません」
「いやいや、居たらヤベーだろ」
今日も恋心を隠して、第三者みたいな台詞を吐く。
でも、もし付き合えたら?
そんな日が万が一来たとして、いつか別れるかもしれない。
ラビはブックマンとしての仕事に支障は出さないと思うけど。多分、私の方が耐えられない。
だから、いつまでも平行線なまま。
これでいいんだ、これでいい。
初恋は実らないって言うじゃない。
「まぁ、あのウェイトレスさんにアタックしたとして……振られるだろうから、胸くらいは貸してあげる」
「なんでフラレる前提さね?」
「軽そうなんだもん、ラビって」
うん、軽い。
ペラペラの紙みたいに、女の子に対して軽いよね。
そんな事を思っていたら、
「本当に好きな奴には、こんなんじゃないさ」
「…え?」
「つーか、聞いてくれよ!この間、ジジイと任務で」
ラビがお爺ちゃんの愚痴をあーだこーだ言ってるけど、何も入ってこない。
だけど、私はいつも通りを演じるしか出来なかった。