第2章 ブックマン補佐の彼女①(ラビ)
「うわっ、あの子めっさ美人!」
うん、こんな発言はいつもの事
「ストライクさー♡」
この発言も、いつもの事
「はいはい、さっさとAKUMAを破壊してよねっ」
「へーへー!わかってるっつーの!」
任務中に大量のAKUMAに取り囲まれるが微塵も怯える様子はなく、ラビは鉄槌を振りかざし次々と薙ぎ倒していく。
「ほいっ!終了さー」
「ご苦労さま。私は任務終了の電話と、建物の修復依頼をして宿に戻るから」
「そんなん後でいいじゃん!」
「…AKUMAを破壊してくれて助かってるけどね?
だーれかさんが豪快に他のモノまで破壊するからね?
私の仕事が色々とあるんですよ、わかる?」
「スミマセン」
「これはファインダーの私の仕事だから、ラビは先にゆっくりしてね」
「じゃーオレも待ってるさ!」
「えぇ?結構待たせちゃうからいいよっ」
「アオイはオレのブックマン補佐さ。なるべく一緒にいるようにってジジイに言われてるだろ?」
「…こーゆー時ばっか、お爺ちゃんの言いつけ守って」
「兎に角、待ってるさ〜!」
そう。
ラビはエクソシストで、私はファインダーだ。
それ以前にラビはブックマン後継者で、私はブックマン後継者補佐だ。
まだラビはブックマンじゃない。
ラビがブックマンになった暁には、私も正式にブックマン補佐になる。
ラビやお爺ちゃんのように、名を捨てたりはしないけど。
そして、ブックマンは私の祖父だ。
今までブックマンに補佐役なんて存在しなかったようだがお爺ちゃんの図らいの元、そんな役職ができた。
「ラビ、終わったよ!」
「お、結構早かったじゃん」
「あんな数のAKUMAを破壊してくれたんだもの、疲れてるでしょ?待たせたら悪いじゃない」
今は記録のために、黒の教団に所属している。
ラビとお爺ちゃんはエクソシストとして、私はファインダーとして。
役職は異なるものの、私達はなるべく一緒に行動できるよう入団時に黒の教団と成約しているそうだ。
「アオイも疲れたろ?お疲れサン」
ポンポンとアオイの頭を撫でる。
「…うん」
こんなのも、いつもの事。
当たり前だと思わなくちゃいけない、何も特別なことではない。
いつからか私は、この当たり前が苦しく感じるようになってきた。