第4章 夜桜月見と三日月宗近.. 𓈒𓏸

桜の花びらが夜風に揺れ、月明かりが淡く二人を照らす。


美桜は指輪をはめられた手を、そっと三日月の手に重ねたまま、静かに呼吸を整える。




『……三日月』





「なんだ？」





『私、こうして三日月と一緒に座っているだけで、なんだか……今すごく幸せ』






三日月は穏やかに微笑み、美桜の手を優しく握り返した。





「俺も主と共にこうしているのは幸せだ……」






二人の間には言葉は少なくとも、温かな空気が流れていた。

月は満ちて白く輝き、桜の花はひらひらと舞い落ちる。

夜の静けさと桜の花の香りに包まれ、世界が二人だけのものになったようだった。




美桜は指輪を見つめ、嬉しそうに笑った。




『三日月からこんなサプライズがあるなんて思わなかった……！』





「鶴ではないが、こういった驚きは悪くないであろう……？」





三日月の声は静かでありながら、少し楽しげで心からの優しさを含んでいた。







花びらが夜風に舞い、二人の間に淡く落ちる。
月光の下で、二人の手はそっと重なり、指輪の輝きが小さく揺れた。



春の夜に咲く桜と、満月と、二人の想い――すべてが、このひとときに溶け込んでいくようだった。