第11章 11
その夜、火影室で作業中、シカマルがノックもせず飛び込んできた。
「六代目!えま!すぐに病院にいってくれ!」
訳なんか聞かなくともわかった。
走る足がひどく重く感じた。
呼吸がうまくできない。
病室のドアを開ける瞬間までまるでスローモーションだ。
状態急変。
モニターをつけられた香蓮さんが返事もなく待っていた。
私が右手、かかし先生が左手を握るが、その手からは生気を感じない。指先はすでに冷たくなってきている。
ゆっくり、ゆっくりとモニター音がさらにおそくなる。
到着してからわずか数分後、二度と波形が波打つことはなくなった。
余命宣告からちょうど半年。
香蓮さんは、私達をおいて旅立った。