第11章 11
うちは、廊下のベンチでぼんやりとして時間をつぶしていた。
今日は香蓮さんも体調よさそうだし、かかし先生もうれしいだろうな。
あれこれ考えていたら、ガラッと音がして、かかし先生がでてきた。
「あ、かかし先生!…っ?」
息を飲み込んだ。
先生の目は明らかに泣いたあとだった。
「悪い。今日はもういくよ。香蓮も今日は一人になりたいって言ってるから、えまはしばらくゆっくりしてから火影室に出勤したらいい」
それだけ言って、かかし先生は言ってしまった。
二人を泣かせたくないのに、なんでこうなる。
うちがみたいのは二人が笑ってるところなのに。
結局うちは泣くしかできないんだ。
廊下にたたずんで、ひたすら涙を流した。