第1章 ひまわり×家康
「そんなに大きな花があるのか。それは一度拝んでおかねえとな、光秀。」
「まあ花自体にそれほど興味はないが…ちよ、今お前が着ていくと言った『わんぴーす』と言うのは着物か何かか。」
「あっ、説明もせずにごめんなさい。ワンピースっていうのは…」
描くものがないから、身振り手振りで一生懸命その特徴を伝える。
我ながら拙いと思う説明だったけれど…
「へぇ…」
「ほぅ。」
「…伝わった?」
「あぁ、十分伝わった、なかなかの薄着だな。」
「随分と珍妙な形をしていると見える。」
やっぱり…時代が違うとそんなに変なのかな。
やはり当日は着物を薄手に改良するとか、他に方法を探るべきか考え始めた時、政宗が口を開いた。
「だが、俺は見てみたい、そのわんぴーすってやつ。
きっとお前なら何を着ても似合うんだろうしな。」
「政宗…」
「俺もぜひ見てみたい。
ちよ、薄目の布と藁なら俺の御殿に当てがある。手配しておくからいつでも取りに来い。」
「本当ですか光秀さん!ありがとうございます!」
「じゃあな、ちよ、楽しみにしておく。」
二人を誘って良かった。喜んでもらえそう。
それに材料まで見つかるなんて!
改めて二人にお礼を言って浮かれ気分でその場を立ち去った。
だから、私にはその後の二人の会話は聞こえていなかった。
「お前、大事な言葉を抜いたな。」
「おや、何のことやら。」
「お前が『ぜひ見てみたい』のはちよの着物じゃなくて家康のやつの反応だろ。」
「あぁ、それも見てみたいな。」
「面白がって怒られても知らねえからな。」
「それはお前も同じだろう。」
家康や周りの人たちが考えていることなんてつゆ知らず、当日までに私は着々と準備を進めていった。