第1章 ひまわり×家康
「これ、帯もないし風になびくよね?生地もだいぶ薄いんじゃないの?もし他に誰かが見たら…」
「ここはあまり知られていないって佐助くんも言ってたよ。
他に連れていく人なんて……あっ!」
「……失言だった。」
安土城のみんなも連れて行けたらと私が思ったのと、家康がゲンナリしたのはほぼ同時だった。いつもお世話になっているみんなにも見てもらいたい。
「家康…みんなで見に行くのやだ?」
「…その頼み方はずるい。
分かったよ、ただ布の面積は暑くならない限りで増やして。」
「やったあ!ありがとう家康!」
こうしてなんとか許可をもらえて、ひまわりの見頃に向けて急いで準備をする日々が始まった。家康は忙しいはずなのになんとか日を空けて、その分の仕事を前倒しでやってくれている。そこまでしてくれる分、当日は楽しんで欲しいから私は張り切っていた。
まずは皆に声をかけるところから始めたんだけど…
「えっ、この日は秀吉さん行けないの?」
「悪いな。この前傘下に入った大名が信長様に挨拶にくるから、俺もそばを離れられないんだ。かわいい妹分が誘ってくれたのに、残念だ。」
「お仕事なら仕方ないね…じゃあ信長様も無理か…」
「そんな寂しそうな顔をするな、帰ったらそのひまわりとやらの土産話を聞かせてくれ。」
秀吉さんがポンポンと頭を撫でて慰めてくれる。見に行けないのは秀吉さんなのに、私がしょんぼりしたのを見逃さずに思いやってくれる。本当に優しくてお兄ちゃんのようだ。
「その日はな、大名が来る分、安土城内に他に大きな仕事はないんだ。俺と三成がいれば事足りると思うから、他の奴らを誘ってやってくれ。」
「分かった、お土産話楽しみにしててね!」
三人が来れないのは残念だけど、帰ったら必ず話に行こうと心に決めた。
そして秀吉さんの言う通り、他の人は当日に急ぎの用事はないようだった。廊下ですれ違った政宗と光秀さんにひまわりのことを伝えると、すぐに話に乗ってくれた。