第1章 ひまわり×家康
「前にも言ったけど、佐助くんはただの友達だから…!向こうもそう思ってるよ。」
「そんなの分かんないでしょ。仮にそうだとしてもあんたの部屋に他の男が入るなんて…
だいたいいつもちよは無防備すぎるし___」
「わわ分かった!ごめんね家康。」
恋仲になってから、家康は私への思いを伝えてくれるようになった。もちろん、好きや愛してるみたいな直球な言葉ではなかなか言わないけれど…
言動から漏れる嫉妬心や心配が、嬉しくもあり恥ずかしくもあって、顔に熱が集まるのを感じていく。
「はぁ…絶対分かってないだろうけど…今日はひとまず話を聞いてあげる。」
「う、うん!ありがとう。
で、見に行けないかな?ひまわり」
「距離は馬を使えば問題ないだろうね。
ただ…そのひまわりが咲く時期はかなり暑いんじゃないの?
俺は大丈夫だけど、あんたは?倒れたりしない?」
暑さか…そこまで考えていなかった。
家康が心配するのには当然の理由がある。以前、日差しが強くなってきた初夏の頃に、一人で出かけたものの具合を悪くして家康に迎えに来てもらったことがあった。現代の軽装に慣れきってた私には、夏用の薄い着物であっても堪えたらしい。
「あんたが見たいものは見せてあげたいけど、倒れたら元も子もないからね。」
「うーん…今から着物にも慣れるように練習して…」
家康の方をチラリと見ると、もっと現実的な案をと目で訴えているのが分かる。
でも…ひまわり畑を家康と見たい…脳裏に浮かぶその綺麗な光景を諦めきれない。
その時、その光景の中に、昔の自分の姿がよぎった。
「ワンピース…それに、麦わら帽子!」
「…だいたい訳わからないこと言い出したらあんたの時代のことだよね。
何を思いついたの?」
「えっとね、私の時代にあった服装なんだけど…」
家康の部屋の紙と硯を使わせてもらって簡単に絵を描く。
膝丈までの一続きのその形が、描いているだけで既に懐かしい。麦わら帽子も日差しを防ぐにはこれ以上のものはないと思われたのに…
「却下。」
「えー!?これなら暑くないよ?」
「あんたの時代と感覚が違うのは分かってるけど…これは駄目、こんなの下着じゃん。」
「下っ……じゃあ、布の面積を増やすのは?袖も伸ばすし、丈ももっと長くする!」