第2章 しろつめくさ×秀吉
秀吉さんの報告に、信長様をはじめ、織田軍のみんなが問題ないといった様子でうなずく。末席で話を聞いていて、戦況は思っていたよりも厳しかったこと、それでも秀吉さんたちの実力で勝ち抜いたことを知った。
「秀吉を唸らせるような相手なら、俺も出陣してみたかったところだな。」
「政宗、戦は遊びじゃないんだぞ。」
「まぁ…政宗さんの気持ちも分かりますけどね。それほどの相手なら武功がまた一つ立ちますし。」
「さすがは家康様!常に高みを目指していらっしゃるのですね。」
「三成は黙ってて。」
「今日も今日とて仲がいいな、お前達は。」
「光秀さんも黙っててもらえますか。」
そして最後に秀吉さんが仲良くしろと家康さんを嗜める。いつも通りの何気ない会話だ。この風景が何事もなく戻ってきたことに安堵する。
「でも、本当によく勝てましたね。後で詳しく戦術を教えてもらえますか。」
「あぁ、参考になるならいくらでも話すぞ。と言っても、三成が考えた部分も多いけどな。」
「とんでもありません。私は少し進言したにすぎませんから。
それに…勝てた要因には、ちよさまがお渡ししていたお守りの効果もあるのではないでしょうか?此度の戦は苦しい時ほど運良く事が運ぶことがよくありました。」
「お守り?」
三成くんの言葉で、蚊帳の外にいたはずの私が一気に話の輪に引き込まれる。
「そ、それこそとんでもないよ!私が作っただけのものだし…。」
「貴様は出会った時から幸運を導く女だ。その貴様が作ったものであれば、そういう効果もあるのかもしれんな。」
「のっ、信長様まで…」
「へえ、そんなに効果があるなら俺にも作ってくれよ。」
政宗が興味ありげに提案したのをきっかけに…話が収束する頃にはみんなの分を作ることになっていた。