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触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第5章 ふわりふわり揺れる思い


『遠慮なんかせんでえぇ…かけたい時にかけてくれればいい。

なんやったら、一晩中話そうか?』

「そんな、悪いよ!大丈夫だから」

『えぇよ、沙耶が安心するやったら、何時間でも付き合うで!』

侑君って、こんなに優しい音色だったかな?

聖臣とは違う声、電話越しだと少し高くて囁くように言うから甘い声に感じる。

やっぱり、治君もだけど女の子に絶対モテるよね。

「明日も学校とか部活あるでしょう?体壊しちゃったら嫌だよ…」

『大丈夫や!沙耶よりも体強く出来とるし、気にするとこやない。

寧ろ、沙耶が寝れ方が問題や、なんやったらキスでもしようか?』

えっ!冗談?あの日、好きだってキスした時とは違う。

言葉にはうまくできないけど、何か吹っ切れたというか、だからと言ってグイグイくる感じではない。

『しよう、キス』

冗談じゃない…電話越しでも伝わる『好き』の気持ち、まだ誰にも答えられないのに…。

「無理だよ…そんなの」

『何が無理?電話だから、遠いから?

俺は、そう思ってない…遠くても近くても沙耶とキスしたい。

ただ触れられんのはキツイけど、次会った時に貰うから』

「貰うって、何をあげればいいの?」

『うん?ずっと言ってるのに伝えたりないか…欲しいのは、沙耶や』

「私?」

『そうや、俺が欲しいのは、いつも沙耶だけ。

治や古森君でもない、一番強敵の佐久早君でもない。

俺にしときや、絶対後悔させん』

「………」

言葉は、一本の真となりその意味も思いも、聖臣と同じくらいに強い。

顔が見えないのに、声だけでわかる本気の気持ち。

答えられないのは、逃げているだけ…?

『お〜い!あ~失敗した?沙耶?聞いとる?』

「聞いて・・・る」

『何や、無言になるから少し焦ってもうた。

でも、さっき言った事は本気やで!

俺にとって本気でぶつかるのは、バレーと沙耶のことだけなんやから、だからってガッツいて嫌われるのは嫌やしな』

「嫌いにならない…よ…」

自分の気持ちより、私の気持ちを汲んでくれて伝えてくれるから、誰だって単純に嬉しい。

聖臣と一緒にいる時と同じで、温かくて安心する。

さっきまて眠くなかった瞼も、侑君の優しい声に誘われて、少しずつ微睡みに吸い込まれいった。
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