• テキストサイズ

触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第4章 宮兄弟の愛し方


侑side

深い溜息をついた佐久早君は、俺の腕を離しても睨みつけてくる。

それも当然の結果だよな。

「本気?…お前らが、好きだって言っても沙耶は、そういう対象でみてない。

沙耶は、俺しか見てないけどな」

「なんやねんソレ? 佐久早君かて付き合ってもいないのに、自分の彼女みたいなこと言うのやめてくれんか。

それに俺は、返事も聞いてないしまだ何も始まっとらん」

「お前らはな、始まってないからそれまでだ。

お前らの気持ちとか正直どうでもいいけど、今日みたいに悪影響を与えるなら別だ。

沙耶を苦しませるならいらない、傍にくるな」

苦しませる?俺は、沙耶を笑わせて笑顔にさせるために来たんや。

今日も話をしながら、いっぱい笑っていた。

それは、無理とかじゃなくて自然とでる、俺の一番好きな笑顔だ。

これからだって、笑わして笑顔にさせてやるのが、俺達の沙耶への愛し方だ。

「下手な愛し方なんかせぇへんよ。

ずっと笑顔でいさせるし、ずっと笑わしたる。

これから、何が起きてもずっとや」

「そう…やってみれば無駄だとは思うけど」

ピリピリと緊迫した状態に達したとき、母親から声がかかる。

「あんた達、雰囲気が悪いわね。

それより、侑、治は、一旦ホテルに戻るわよ。

母さんは、夜勤を頼まれたからしばらくして戻るけど、あんた達は大人しくホテルにいてよ」

「なんでやねん、沙耶とこ行きたいやけど 」

そう母親に伝えて見るも、様子がおかしい。

沙耶の容体が、著しくないのか?それとも他に理由があるのか。

「あぁ~それは…」

「?」

「呼んでいるのよ」

「誰を?」

サムも俺も不思議そうに母親を凝視しているが、一向に本題を言ってはくれない。

「だから誰を呼んでんるや?沙耶に何かあったんか?

さっきおじさんは、大丈夫やって言っとったんやけど?」

母親の沈黙が長く続いたが、俺達の張りつめた間合いに観念したようで、はっきりと言った名前に驚愕した。

なんでや!と今だ、心の中でリピートしたまま。

ホテルに帰ってから大層な料理を目の前にしても、おいしいとは感じられんかった。

苦しくて眠れない夜を過ごしたのは、沙耶の事故の連絡を受けた以来2度目だった。
/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp