第4章 宮兄弟の愛し方
「大丈夫か?おーい沙耶?戻ってこい~」
お姫様抱っこされながらも、ループする治君の声と唇の感触。
「マジでムカツク!サムのバカー、アホー、一回死ね!!」
ブツブツ言う侑君は、拗ねた駄々っ子のように子供だ。
少し歩いた先には、中庭と繋がっていて人もチラホラといるだけ。
ベンチに座るとひんやりとした風が、ふわりと頬を掠めると少しずつ頭がクリアになる。
「少し寒いか?上着持ってこればよかったな。
コレ着てて、足元寒いやろ?
ブランケット貰ってくるから、ココで待っとり」
半分聞き流しながら『うん』と頷くと、薄手のジャケットをそっと肩に掛けてくれた。
大きいなぁと思いながらも、聖臣と元也と違った香水の匂いにまた、ドキっとさせられる。
キスも逞しくなった腕も匂いもまた、違った男の子の感触で頭が、いっぱいいっぱいだ。
『沙耶…』と呼ばれ顔を上げると、侑君の唇が触れる。
治君とは、違った感触。
「サムばっかりずるいやん。
俺だって沙耶が、好きやねん」
頭を撫でて、その場を去って行った。
また、放心状態。
今日に限って何度目!朝は、聖臣にキスされて好きだって言われて、今だって侑君にも治君にもなんて!!
モテキか?!
頭グルグル回って、息が苦しい。
「沙耶?」
呼ばれて振り返ると、部活帰りの元也がいた。
「元也~!」
「どっどしたの?」
「元也、もうパンクする~助けて‼︎」
「何?どうしたの?誰かになんか言われたの?」
泣きつきながら左腕を伸ばすと、彼らとまた違ったやさしい腕で抱き締められる。
今まで意識なんてしてなかった元也までも、男の人って認識してしまう。
「もう、泣いてたらわからないけど、沙耶落ち着いて。
ほら、深呼吸して」
言われた通り深く深呼吸して吐いてを繰り返し、背中を優しくトントンとされている。
「落ち着いた?」
「うん、ごめんね元也。
なんかパニックになっちゃって」
頷きながら抱き締めてくれる腕は、優しくて兄の様に安心する。
「別にいいよ、それで何があったの?」
この後、まさか元也が、激怒になるとは思わず自分で言った言葉に後悔した。