第8章 私のための無垢なドレス
「あ……そうなんですね。わかりました」
ユウは一瞬彼に見惚れるが、すぐに意識を取り戻し慌ててそう言った。
いつもより少し早口になってしまったのは無意識に緊張していたからかもしれない。
言ってから、ユウは思った。
この人に、この美の化身みたいな彼に相談をしてみるのはどうだろうか。と。
ユウはゴクリと唾を飲み込むと、緊張した面持ちで「あの、ヴィル先輩……」と口を開いた。
「何よ」
「あの、3ヶ月後にダンスパーティーがあるのはもう聞きましたか?」
「当然でしょ、寮長だもの。どの生徒よりも先に聞いているわ。
で、それがどうしたの」
「あ、あの……それで私、綺麗になりたいんです……!」
ユウは先程クラスで感じた視線と、自分の思いをヴィルに語る。
はじめは断る気まんまんといった様子だったヴィルだが、彼女の力強い演説としつこさに負け「あぁ、もう!わかったわよ!」と叫んだ。
「いいわ、アタシがアンタを磨き上げてあげる。その代わり、アタシが言うことには絶対に従いなさい」
「はい!ありがとうございます!」
ビシッと指を指すヴィル。
ユウは腰を90度に曲げ、ハキハキとした声でお礼を言った。
これから始まるモデル顔負けのトレーニングメニューや食事制限をユウは勿論知る由もない。
何せヴィルはスーパーモデルなもので。