第6章 やがて糸は火となり繭となる 2
もうすぐ12時になる。
フロイドはマジカルペンを振ると、幻覚で見せていた海の世界を消した。
ユウが名残惜しそうに「あ、」と小さく声を漏らす。
後20秒で12時。
18……17……16……
9……8……7……6……5……4……3……2……1……
0
ボーンボーン。
オンボロ寮の振り子時計が12時を告げる。
ユウとフロイドを繋いでいた赤い糸はまるで魔法のようにパッと消えた。
2人はお互い赤い糸が付いていた方の手をマジマジと見つめる。
「……本当になくなりましたね」
「なに、寂しいの?」
「いえ、自由に手が動かせる素晴らしさを実感しています」
「うわっ、可愛くねぇ」
糸は消えてしまったが、それは見えなくなっただけで今でも自分たちを繋いでいるのではないかとユウは思った。
それはフロイドも同じで、彼は口には出さないが、糸が消えてしまったまったことを名残惜しく思っていた。どうせなら学園の皆んなに見せびらかしたかった。学園唯一の女子は自分の運命の相手であると。
彼女のことを気に入っている男たちがどういう反応をするか。きっとリドルなんかは顔を真っ赤にして怒るに違いないと、フロイドは想像し可笑しくなった。