第6章 やがて糸は火となり繭となる 2
オンボロ寮に着く。
赤い糸はまだ付いている。
もしかしたら今日いっぱいは付いているのかもしれない。
深夜12時になるまで2人で待ってみることになった。
ユウはフロイドに寮の中に入るように勧めたが、フロイドは外で待つと言う。
そのためユウとフロイドは寮の扉の前の石段に並んで座った。
現在の時刻は10時。空が澄み切っていて、星が幾分近くに見える。
寮へ着いた時、2人の手は自然と離れていた。
しかし石段に座り、ユウが手を地面についた時、再び彼女の手はフロイドの大きな手に捕まった。
手の甲を包み込み、ギュッと握られる。
ユウは思わずといった様子で、「フロイド先輩!」と彼の名を呼んだ。
「なぁに?小エビちゃん」
「先輩、手が……」
「手がどうしたの?」
「い、嫌……です……」
フロイドがユウを見つめる。
ユウもフロイドを見ていたが、視線があった時すぐに目を反らした。
治ってきていたはずの顔を赤みもまた戻ってきてしまっている。むしろさっきよりも顔が赤いような気がした。
彼女の髪が、カーテンのようにフロイドからその赤く染まった顔を隠してくれる。
しかしその護りはフロイドが彼女の髪を耳にかけたことによって、いともたやすく破られた。