第6章 やがて糸は火となり繭となる 2
ユウは左手の小指に違和感を感じた。
何かが付いている感覚。
左手の小指についているものと言えば赤い糸だが、今まで糸は付いている感覚はなかった。
見えるだけで、付いている感覚も触ることも出来ない。
ユウはチラッと糸を伺った。
そこにはいつもと変わりない糸がユウとフロイドを繋いでいる。
「ん?何これ」
フロイドが声を上げた。
そしてそれと同時に自分の右手を目線の高さまで持ち上げる。
フロイドが手を持ち上げた時、ユウは「うわっ!」と叫んだ。彼女の左手がフロイドの右手に釣られるかのように上へと上がったからだ。
小指が絞められきりきり痛む。
「これ、もしかして赤い糸?」
フロイドが自分の小指を見つめ呟いた。
彼の目には確かに赤い糸が写っていた。
ジッと糸を見つめるフロイドに、いよいよユウは「フロイド先輩」と声を上げる。
「指が痛いです……。手を下ろしてもらえませんか」
その言葉にフロイドはユウに視線を向ける。
自分の右手の小指に結ばれている赤い糸は彼女の左手のに向かって伸びており、フロイドと同じように結ばれていた。
糸の長さは30センチほどしかなく、フロイドが腕を上げたことで彼女の腕も持ち上げられている。
フロイドは手を下ろした。
ユウの手も同じように下がる。