第5章 やがて糸は火となり繭となる
ユウは混乱していた。
フロイド先輩が
私のことを
好き?
そんなまさか。
だって今までそんな素振りなかったのに。
食堂の時だって、仮に私のことが好きなんだとしたら、普通好きな人の顔面鷲掴む?
ユウは頭の中でフロイドが自分のことが好きなわけがない理由を並べ、そしてもしかしてと思う。
もしかしてフロイドはユウと赤い糸が繋がっていると知ったから、意識して好きだと勘違いしてしまったのではないか。と。
ユウは否定したかった。フロイドの"好き"を。
だって好きな人がいる。
だっていつか帰らなければいけないのだ。
「……フロイド先輩」
フロイドは口をへの字に曲げている。
肩を掴んでいる手に力が入った。
ユウは少し痛かった。
「勘違いじゃ、ありませんか……?
赤い糸が繋がってるって知ったから、何となく意識してしまっただけじゃないですか……?」
好きだと言われて嬉しかった。そこに多分という言葉がついても。
好きだと言われて嬉しくない人なんていないと思う。
だけど、これでフロイドが「やっぱ勘違いかも」と言ったら「なぁんだ」という気持ちにはなるけれど、やっぱり良かったとホッとする。