第4章 マザーとグースとお嬢さん
男子の食べる量はとても多い。エースとデュースもいつもユウのご飯の倍の量をペロリと平らげるのだ。
それはカリムも同じで、ホリデーで一緒に夕飯を食べた時、彼もユウの倍は食べていた。
そんなカリムの弁当が、彼女のお腹に丁度良いくらいの量というのにユウは少し違和感を感じた。
もしかしたらジャミル先輩は私のためにお弁当を作ってくれたのかもしれない。
だってプレゼントだってお弁当と同じ袋に入ってたんだから。
きっと、絶対にそうだ!
ユウは最後まで取っておいた揚げまんじゅうを食べながらそう思った。
ジャミルが自分のためにわざわざ作ってくれた物だと思うと、先ほど食べた物よりももっとずっと美味しく感じる。
ひと噛みごとににやけそうになる顔を引き締めるが、それでも完全には誤魔化すことが出来なかったようで、隣に座っていたジャミルに「君は随分嬉しそうに食べるな」と言われた。
ジャミルは胡座をかき、自分の足の上で頬杖をついてユウの方を見ている。
彼はすでに自分の分の弁当を平らげていた。
「あの、凄く美味しくて……」
そう答えたユウにジャミルは笑う。
「そんなに嬉しそうに食べてもらえれば、作った甲斐がある」
それは何の裏もない年相応な笑顔だった。
思わずユウはジャミルの顔をジッと見つめる。目が離せなかったのだ。