第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
その日の夜。
約束通り、エースとデュースとユウ、そしてグリムはオンボロ寮に集まり、沢山のお菓子やジュースを囲んだ。
ユウと一番付き合いが長く仲がいいのは彼らである。
エースたちは今日オンボロ寮に集まる事を皆んなに話していたが、他の生徒たちは遠慮したのだった。
こんな時間にお菓子を食べるなんて、ユウは初めての経験だった。
談話室のソファに座りながら、お菓子を頬張りジュースを仰ぐ。
皆んなが思い思いに好きな話をした。
家族の話だったり、将来の夢だったり。
恋の話だったり。
飲んでいるのはジュースでアルコールなんてまったくもって入っていないのに、彼らは酔っ払っているかのようにハイテンションだった。
そして深夜3時を過ぎた頃、そんなハイテンションがプツリと切れたのか、デュースがいきなり泣き始めた。
ヒクヒクと喘ぎながら肩を震わせるデュースに、エースは「ちょっ、なになに、どうしたわけ?」と揶揄うような口調で彼の肩を叩く。
「俺は無意識のうちに、ユウとは卒業まで……いや、卒業してからも一緒にいられると思ってた……!」
その言葉に、エースはピタリと揶揄うのをやめ、そしてユウとグリムは瞳からポロリと涙を溢した。
エースは自分以外が泣くのを見て「おい、やめろよお前ら」と震える声で言う。
「オレだって我慢してたのに……。
ふざけんなよデュース……!」
そしていよいよ全員で馬鹿みたいに声を上げ泣いた。
オンボロ寮に泣き声が響くのはこれで2回目。
そしてこれがきっと最後になるだろう。
オンボロ寮のゴーストたちが、気遣わし気に固まって泣く彼らの周りをふわふわと浮いていた。