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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2



学園長室に着くと、フロイドはノックもせずに乱暴に扉を開けた。
部屋の中には案の定ユウがおり、酷く驚いた表情でフロイドを見ていた。

「リーチ君!何ですか突然!ノックくらいしなさい!」

「小エビちゃん!」

怒る学園長をフロイドは無視し、ユウの側までズカズカと歩いていくと、彼女の肩をガシリと掴んだ。

「明日帰るって、本当……?」

フロイドの瞳は不安げに揺れている。
ユウはそんな彼の目を見ながら「はい」と頷いた。
ユウの肩を掴むフロイドの手に力が入る。
痛いくらいの力にユウは顔を歪ませるが、今のフロイドにはそんな事に気を回せる余裕などなかった。

「何で、何で帰んの?
ここに居ればいいじゃん。
それで、卒業したらオレと一緒に珊瑚の海で暮らそうよ。
海の世界に憧れてたって前言ってたじゃん。アズールに人魚になる薬作ってもらって_______」

「フロイド先輩」

ユウがフロイドの言葉を遮る。
寂しそうな笑みを浮かべるユウに、フロイドは思わず自分の耳を塞ぎたくなった。

「私、帰りたいです……。
家族に会いたいんです」

ごめんなさい。でも、分かってください。

ユウは視線を下げ、自分の少し大きめなスボンを握りしめた。
フロイドはユウの肩から手を離す。
彼は苦虫を潰したかのような表情を浮かべると、荒々しい足取りで扉の方に向かう。
そして扉が壊れてしまうのではないかと言うほど勢いよく開け、そしてバンッ!と音を立てて学園長室から出て行った。

ユウはその音に肩をびくりと震わせて、そして不安から学園長の顔を見た。
学園長はユウの視線を受け止めるとにこりと笑い、「大丈夫ですよ。あなたの選択は間違っていません」と黒い手袋に金の爪のような装飾がついた手で、ユウの頭を優しく撫でた。




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