第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
「いやー、ユウくんとグリムくんも呼ばれてたんスね」
「私たちはついさっきカリム先輩と会ってその時に」
スカラビア寮の談話室は他の寮と違い壁がなく吹き抜けになっているため、外の様子がよく見えた。空にはまだ残照があって、黒ずんだ牡丹色に雲を染めている。
そして高そうな絨毯やらなんやらが其処彼処に置かれており、ユウは汚してしまわないかソワソワした。
談話室では寮生が宴の準備で忙しそうに動き回っており、その中に悠々と寛ぐラギーがいた。
ユウはカリムに「客人なんだからゆっくりしていてくれ」と言われていたため、少し申し訳なくなりながらも、そそくさとラギーの側に腰掛ける。
「こんばんは。ラギー先輩」と、声をかけると、「お、ユウくんとグリムくんじゃないっスか」と大きくふわふわな耳をぴこぴこと動かした。
ラギーの傍には大きな袋が置いてあり、それは何かと聞くと、中から大小様々の大量のタッパーが出てきた。
「ジャミルくんの飯は美味いっスからね!
ほら、オレってば優しいから寮のみんなにも食べさせてあげたくて」
シシシッ!
と独特な笑い方をするラギーにユウは苦笑いをする。
きっと一人で食べるに違いないと思った。