第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
ユウが一頻り笑い終えた時、
「おっ、どうしたんだ2人とも!」
と、この学園の生徒らしからぬ飛び切り明るい声が聞こえてきた。
ユウとグリムが声のする方に視線を向けると、案の定そこにはカリムがいた。
「こんにちは。カリム先輩」
ユウはにこりと笑みを浮かべて会釈をする。
カリムはそれに「おう!」と片手を上げると、突然思い付いたかのように「そうだ!」と声を上げた。
「2人ともこれからスカラビア寮へ来ないか?今日宴をするんだ!」
「行きたいんだゾ!」
ユウが答えるよりも先にグリムが声を上げる。
ユウは「ちょっとグリム!」と小声で彼を咎めるが、カリムは「はっはっはっ!」と明るい笑い声を上げた。
「あぁ、是非来てくれ!宴は賑やかな方がいいからな!
実は今回の宴はそこまで人数が集まらなくて、うちの寮生とラギーしかいなかったんだ」
それにユウが来てくれたらジャミルも喜ぶ。
笑顔で言ったカリムの言葉に、ユウは鳩尾を殴られたような感覚がした。
喜ぶ?
そんなわけない。
だってダンスパーティーの途中、抜け出してしまったのだ。
きっとジャミル先輩は私なんかに会いたくなんてない。
自分でそう考えて、ユウは何故か悲しくなった。
そしてそんな自分の勝手さに腹が立った。