第12章 月を見てる君を見ていた 2
ジェイドはフロイドが心配だった。
ダンスパーティーで、ユウとジャミルが一緒にいるのを見て暴れ出さないか。
ペアの女子に乱暴な事をしないか。
ジェイドはフロイドが心配だった。
フロイドを心配するがあまり、ペアの女子にきのこについて延々と話し続けたら、何故かこっ酷くフラれてしまった。
やっぱりお付き合いするならきのこの魅力がちゃんとわかる人がいいですね。
と、フロイドを心配するジェイドが、そう考えながら寮へと戻ってくると、その心配していたフロイドがまだ寮に帰ってきていなかった。
早々に帰ってきているだろうと思っていたのに、彼は何をしているのか。
ジェイドはフロイドが首を吊ろうとしているのではないかと、割と本気で心配になった。
場所は戻ってフロイドの部屋。
「随分良いことがあったみたいですね」
最初はあんなに不機嫌そうだったのに、今ではすっかり上機嫌のフロイド。
表情こそしかめっ面をしているが、それはジェイドが突然来たからであって、内心は浮かれていることをジェイドは長年の付き合いで分かっていた。
「……………うん」
「おや、素直だ」
「もうジェイドうっせぇー。用がないなら出てってくんない?」
げしげし。と、ジェイドの背中を軽く蹴るフロイド。
ジェイドは「おやおや」と全く困っていない困った笑みを浮かべながら、「おやすみなさい。フロイド」と部屋から出て行った。