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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第10章 私のための無垢なドレス 3



数日前、ジャミルと廊下で話した日のこと。
ジャミル越しにユウは久しぶりにフロイドを見た。フロイドは1人ではなく、ボーバトンの生徒と一緒だった。
その生徒は見事なブロンドの髪を持ち、離れていてもその美しさが分かった。

初めて、フロイドが女子と話している姿を見た。それは当たり前だ。だってここは男子校なのだから。
それでも、彼があんな穏やかな表情で女子と話す姿にユウは言い知れない不安を抱いた。
驚きと不安が入り混じり、ジャミルと話していたにも関わらず、思わずその場から立ち去ってしまった。

何故あんなに不安になったのか。
ユウは自分の中で答えが出ていたが、それを認めたくはなかった。


だって私はジャミル先輩が好き。
それに、私は異世界から来た身。
いつか……帰らなくては行けない。
好きになっても告白するつもりはない。
離れ難くなってしまう。
相手の心にも傷を残してしまう。


ユウは目を瞑った。
目を瞑り、心の中で相手の事を思い浮かべ、好きと呟く。

「好き…好き……好き……」

胸の奥で、温かさや締め付けを覚えれば______

「好き……」

それは恋でしょう。

ぽろり。
片方の目から涙が溢れる。
溢れ出た一筋の涙は、天井の蛍光灯の照明を受けて、鈍い銀色に光った。





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