第2章 コバルトブルーの怪物を飼っている
ユウが赤い糸を見えるようになってから4日経った。
「そういえば、"運命の人"とは出会えたわけ?」
昼休み。食堂でユウの目の前に座るエースがお昼のミートパスタをフォークに絡めながら聞いた。エースの視線はくるくると綺麗に巻かれるパスタに注がれている。
ユウは赤い糸の話をエースとデュース、そしてグリムにはしていた。
初めて糸を見た日、グリムは見えないと言っていたがもしかしたらそれは自分が人間でグリムがモンスターだからなのかもしれない。そう思ったユウは次の日の朝、2人に左手の小指を見せ「赤い糸がついてるの見える?」と聞いたのだった。
結局2人とも見えないということだったのだが、糸の話をしてしまい、クルーウェルに原因を聞きに行くという話もしてしまっていた為、この2人と1匹には諸々の詳細を伝えていた。
「会ってない。別に探してるわけでもないしね」
ユウが赤い糸を見えるようになって4日。
その間、糸の先の人物、所謂"運命の人"とは出会っていない。
「気にならないのか?」
好物であるふわふわのオムライスを幸せそうに頬張っていたデュースが、あと残り少なくなってしまったオムライスを名残惜しそうにつつく。
「気にならないわけじゃないけど……」
ユウはカレーに入っていたひとつだけ異常にでかいジャガイモをスプーンで半分に割り、デラックスメンチカツサンドをペロリと平らげ、まだ食べ足りないと騒ぐグリムの口に放り込む。
「気にならないわけじゃないけど、出会ったところでどうする事もできないから」
へらり。
ユウは眉を下げ、困ったように笑う。
エースとデュースは顔を見合わせた。そしてユウを見ると、「まぁ……お前がいいんならいいけどさ」と、どちらも少し不服そうな顔でそう言った。