第9章 私のための無垢なドレス 2
ユウは思わず大きな声を上げた。
慌てて口を押さえ、ひとつ咳払いをしてから「あの……それは本当に嬉しいです。けど、何故先生が?」と淡い期待と疑問が混じったような声で聞いた。
「何、我が校唯一のレディに惨めな思いをさせたくはないからな。
どうせ学園長は何も考えちゃいないさ。最近は特に忙しそうだからな」
「先生……とても嬉しいです。本当にありがとうございます!」
ユウは感激で思わず泣きそうになる。
出来る事ならクルーウェルに抱きつきたい気分であった。
苦手だと思っていたクルーウェルだが、ユウは一気に彼のことが好きになった。
その後、より詳しく肌の色を調べるため瞳の色を見たり、いろんな色の布を当てたり、また、採寸もした。
フェアリーガラの時も衣装を作るためにクルーウェルに採寸されたが、ユウはやはり少し恥ずかしかった。
ドレスを作るにあたり必要なことを全て調べ終え、その頃には研究室の窓からオレンジ色の光が差し込んでいた。
クルーウェルがニヒルな笑みを浮かべる。
「期待しておけ。俺が誰にも負けないくらい素晴らしいドレスを用意してやる」
その言葉にユウは目を輝かせ、「お願いします!」と大きな声で頭を下げた。
ダンスパーティーが一段と楽しみになった。