第5章 Happy Holiday
絶え間なく振り続ける雪が、緑の景色を白く上塗りしている。明日はクリスマス。大広間ではハリーとロンがチェスをしているが、ルールが分からない。オセロならわかるが、チェスなんてなかなか馴染みがない。最初は自ら動くチェスに目を奪われたが、2人が何試合もしているため、正直飽きてしまった。
『ウィンガーディアムレヴィオーサ』
「ミス・、なかなか良いですぞ」
『ありがとうございます』
ハグリッドがとってきたという、巨大なツリーにフリットウィック先生が浮遊術で装飾をつけている。持て余した私は杖を取りだし、先生の手伝いをしていた。
「野蛮だわ!」
聞きなれた声に振り向く。装飾品が高い所まで浮いていたが、突然振り向いてしまったため、ガシャンと落下してしまった。幸い壊れていはない。
『あ…すみません』
「かまわんよ。ありがとう」
優しく拾い、先生に手渡す。大きなトランクを引くハーマイオニーは、魔法のチェスを見て、眉根を寄せていた。
「も帰るんじゃなかったの?」
『うん。実はね、叔母さんからの手紙に、帰ってきたらダメと書いてあって…』
理由は記載されていなかった。何度か手紙のやり取りをしているが、なぜ帰っては行けないのか理由を問う手紙を出したが、未だに返事がないのだ。
ロンのご両親はルーマニアの兄の元へ行くらしく、ホグワーツで過ごす組になったのだ。ハリーはもともと帰りたくないらしい。
「それなら3人でニコラス・フラメルのことを図書館で調べてね」
「もう100回も調べたろ?」
実際には100回も調べてはいないが、そう思うほどの回数は図書館に通っていた。さすがに全ページを開くのは果てしない。関連のありそうな本を掻い摘んで調べたが、成果はなかった。ハーマイオニーは全ての本の全てのページを見て探せ、と言いたいのだろうか。
「閲覧禁止の棚はまだよ」
よいクリスマスを、と言い残してトランクを引くハーマイオニー。まさか優等生の彼女からそんな言葉が出てくるだなんて驚きだ。
「校則破りは僕らの影響?」
『否めないわね』
クリスマスの朝。いつもよりゆっくり寝られると思ったが、ロンの大声が目覚ましがわりになった。ママの手作りのセーターを来ているロンが、ハリーと私にもプレゼントが来ていると教えてくれた。