第3章 White encounter
ヴォルデモート──ハグリッドが恐る恐る口にした名前。ハリーと私の両親は彼に殺された。ハリーと私のお母さんは昔から仲が良かったらしく、私は何故かその日、ハリーのお母さんに預けられたらしい。そこで例のあの人が現れ…
「生き残ったものはおらんかった。お前さんらを除いてな」
その時についたのがこの傷。邪悪な呪いをかけられた時にできる傷だと、ハグリッドは話す。その後の例のあの人は、行方がわからないらしい。
─生き残った子どもたち─
ハグリッドの話が頭の中でグルグルと渦巻く。買いたての杖を眺めながら、ベットで深く息を着く。使い方もわからないが、なんだか箱に入れておくのはもったいない気がして、ただただこうして握っている。
ハリーと私の境遇は同じだ。両親が殺され、古傷を負い、親戚の元で育ち、ホグワーツに入学する。ここまで同じだと彼との出会いが、ただの偶然だとは思えない。
『ビビディバビディブー』
ふざけて言ってみるが、特に何も起こらない。当たり前なのだが。魔法の呪文といえば、これしか出てこない。明日はここを発ち、いよいよホグワーツに向かうらしい。遠足の前日の高揚感で、なかなか眠れない。杖を握ったまま横たわり、何も考えずにぼーっとしているうちに、いつの間にか眠りについていた。
大荷物をカートに乗せて運んでいく。ホグワーツまでは汽車で行くらしく、ハグリッドから切符を受け取る。
「絶対無くすんじゃねえぞ」
1枚ずつ受け取り、まじまじと切符を見る。そこには9 3/4番線と書かれてあった。それは一体どこなのかハグリッドと聞こうとしたが時すでに遅し。先程まですぐ隣にいたハグリッドの姿はない。
『私たちだけで行くしかないみたいね』
「がいてくれて心強いよ」
『私も1人だったら不安』
3/4の謎は置いておき、まずは9番線へとカートを進める。そこに行けば何かしらのヒントがあるかもしれない。至って普通のホームに戸惑い、ハリーが駅員に素直に9 3/4番線について尋ねるが、もちろん期待していた応えは返ってこない。
『どうしよう。もうすぐ出発しちゃう…』
周りをキョロキョロしながら慌てていると、ハリーがどこかへ進もうとしていた。
『あった?』
「ちょっとついて行ってみよう」