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もうひとつの古傷【HP】

第2章 Two scars



 「っ、それって…」
 「ポッターさんと同じものです」
 『生まれつきだと思ってたけど、誰かがハリーと私にこの傷をつけたってことですか?』
 「その杖の持ち主は?」
 オリバンダーさんに問い掛けるが、その名は口に出せないからと、その名を知ることは出来なかった。かわりにその人物は恐ろしく偉大なことをしたのだと、話した。
 「…さて、次はさんですね」
 ハリーと同じ要領で杖を降っていく。まるで強盗が来たのではないかと思うほど、お店が荒れていき、とても申し訳ない気持ちになる。
 次に持ってきてくれたのは真っ白な杖だった。ハリーの杖に比べて細く、持ち手には丸いコブがいくつか着いている。恐る恐る握ると、身体中がふっと軽くなり、まるで寝ている時のような温かさに包まれる。これが私の杖だ。ハリーがにっこりと笑っている。
 「あなたもそうなんですね。この杖は桜の木でできているが、芯にはセストラルの尻尾の毛が使われている。この杖にも兄弟杖があります。きっとあなたを守ってくれる」
 うんうん、と嬉しそうに頷き店内の奥へと姿を消すオリバンダーさん。2人の杖が決まったところで、お店のドアをトントンと叩く音が聞こえてる。
 「ハリー!ハッピーバースデー!」
 ガラス越しに見えるハグリッドは、先程まで持ってなかった白く美しいフクロウを連れていた。ハリーのために買ってきてくれたのだろう。
 『ちょっと待って、ハリー今日誕生日なの?』
 「うん、実はね」
 『早く言ってよ〜。なんにも用意してない』
 「そんな暇なくてさ」
 『まあ確かに』

 買い物もあらかた済んだころには、日が暮れ始めていた。大荷物を持って漏れ鍋のお店へ戻り、少し早めの夕食を摂る。
 パチパチと焚き火の心地よい音が店内に響く。今はもう人が少なく、しっとりとした雰囲気が店内を包んでいる。
 今日はいろいろあったこともあり、とても疲れた。はしゃぎ疲れた時と同じような感覚だ。しかし、一つだけ引っかかるのは、オリバンダーさんから聞いた話だ。ハリーも同じことを考えているかどうかはわからないが、先程から会話はない。痺れを切らしたハグリッドが口を開いた。

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