第2章 Two scars
『ハグリッド。私たち買い物に行くんじゃないの?ここ行き止まりだけど』
「まあ、見ちょれ」
懐から赤い傘を出したハグリッド。部分的に窪んたレンガの周りを、トントンと傘の先で叩くと、赤いレンガがまるで生き物のように動き出し、目の前には人々で賑わう光景が広がった。
「ようこそ、ダイアゴン横丁だ」
あまりの感動に自然と足が進む。ここにいる人たちみんな魔法使いなのだろうか。ハグリッドが簡単なお店の紹介をしてくれているけど、今はこの光景に夢中であまり内容が入ってこない。
『すごい…!』
「本当にすごいや!」
独り言のつもりだったが、隣からハリーが応えた。ハリーを見ると、私に負けないくらい目を輝かせていて、ついつい笑顔になってしまう。
「ハグリッド支払いは?僕お金ないんだよ」
『そっか!買い物するならお金いるよね。どうしよう。私もない』
日本にある無けなしのお小遣いを持ってきても、きっと学用品を全て買うことは出来ないだろう。そもそも外国紙幣に変えなければいけないけど、今からまた取りに行くのはかなり手間だ。取りいくほどの大金ではないし。
「グリンゴッツ魔法銀行にある」
いつの間に目の前には白くて、少し歪んだ建物が建っていた。何を心配しているんだというように、ハグリッドは応えるが、銀行があるからと言って何が解決したのかわからない。
今はただついていくことしかできないので、そのままグリンゴッツ魔法銀行に足を踏み入れる。そこにはまた驚きの光景があり、人間というには鼻や耳が尖った生き物が、せっせと仕事をしていた。
小さな声でハグリッドから彼らはゴブリンだと教えてもらう。頭はいいが愛想は良くないらしく、離れないようにと言われ、さらにハグリッドとの距離を縮める。
さらに奥に進むと、恐らく他のゴブリンよりくらいの高そうなゴブリンが羽根ペンを動かしていた。ハグリッドか「ハリー・ポッターさんと・さんの金庫を開けたい」と言うと、鍵を求められる。もちろん私たちは鍵なんて持っておらず、反応に困っていると、ハグリッドが2つの金色の鍵を渡した。
それとは別件で小声で話すハグリッド。私たちにもあまり聞かれたくないような内容らしく、それなら必要以上に聞くことも無い。