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好きのベクトル【ヒプマイ】

第2章 DAY 1



そしてチーム会議当日、電話の向こうで空却くんが待ち合わせに指定したのは「う○こ」…もとい名古屋駅桜通口側のロータリーのモニュメント、飛翔。
そんな風には見えないけれどみんなが面白がってそう呼ぶそれを目印に15分前に来てみたらもっと目立つ目印。
漆黒の腰まである長い髪に入ったお月様のようなきらきら黄色のメッシュ。
右目は前髪で隠れた背の高いお兄さん。
四十物十四くんはわたしに気づけばにかりと人懐っこい笑みを浮かべわたしに近づいてきた。

「なずなさーん!」
「ちょっ!待って!十四くっ!」

犬みたいに尻尾を振りながら突っ込んでくる姿はさながら超大型犬だ。これで何度転んだことか…
獄さんは男の人だし身長も高いから支えられるかもしれないけれど150と少ししかないわたしにはどうやっても難しいから力を抜きあえて何もしないことに決めた。

「なずなさん今日も可愛いっすね!」
「ん、ありがと。十四君も格好いい。」
「そうであろう。我の美貌に酔いしれるが良い。」

お、今日も出たぞ。ヴィジュアル十四くん。
ヴィジュアル系のバンドのボーカルをしているからかとにかく格好良い、難しい言葉を話す。普段は"自分"と呼ぶけれど、ヴィジュアル十四くんの時は"我"と自分のことを呼ぶ。
まあころころと表情や声のトーンが変わるのはみていて飽きない。

ぎゅむぎゅむと十四くんに抱きしめられていれば背後から聞こえる品のない笑い声。十四くん越しに後ろを見ればいつもより和のテイストを減らした空却くんが笑っている。

「お前ら目立ってんぞ。」
「じゃあ十四くんなんとかしてよ…」

ギャハハと笑いながらも空却くんは十四くんを引き剥がす。
そういえば十四くんもいつもよりヴィジュアルテイストは少なくてビックシルエットのパーカーに黒のダメージジーンズだ。
空却くんに関しては無地のTシャツにスカジャン、サルエルパンツ。いつも以上にラフな格好だ。
わちゃわちゃと2人が騒いでいるのを見ていれば空却くんが私を見てにかりと笑う。


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