第4章 花火大会
自転車の荷台に重みが加わったのを感覚で確かめて、振り返らずに漕ぎ進める。
少し進んで気がついたけど、日向はどうやって荷台に乗ってるのだろうか。落ちないかな?
「日向?どこか掴まってる?落ちんなよ?」
「うん、大丈夫。サドルに掴まってるから。」
「は!?」
サドルってなに!?サドルに掴まるところなんてあったっけ?え?どういうこと!?
多少パニックをおこしながら自転車を止めて後ろを振り向くと、両手の人差し指と親指のみでサドルに掴まってる日向が目に入った。
「お前な、そこは掴まるところじゃねぇから。ほら、こうしとけ。」
俺はなにも考えずに日向の手首を掴んで自分の腰に回した。
そのまま、また走り出す。
しばらくは、ぎこちなく俺のTシャツを掴んでた日向の手が徐々にキツくなってきて、完全に腰に回された。
あれ?待てよ。これって、後ろから抱きつかれてる感じじゃね?
そこでやっと気づいた。背中の感覚からすると、日向の体が結構密着してる。
いや、変に意識するな。昔は一緒に風呂とかも入ってたし。一緒の布団で寝てたし。これくらいの密着は慣れてるはずだ。大丈夫。動揺するな。心臓の音が…。これじゃ、日向に聞こえちまう。冷静になれ、俺!