第2章 自覚
「やっぱ強ぇわ。」
「いや、今のは運が良かっただけですよ。」
「運も実力のうち。だぞ。その柔軟性とジャンプ力、試合の時にどう生かすかだな。そんな身長もすごく高いわけじゃないのにジャンプ力が半端ねぇ。上手く使えば強い武器だが、使い方を間違えればそこが穴になる。試合中も周りと上手くコミュニケーションを取る必要があるな。」
「はい。自分で言うのもあれなんですけど、中学の時は実力の差がありすぎてほぼ俺が1人でやってたんです。でもここは、みんな強いから連携しないとですよね。」
「普段からレギュラー陣と仲良くしとけ。お前、人懐っこいだろ。お前みたいな奴、みんな好きだから大丈夫だ。」
小笠原先輩はそう笑うと、ゴール下に落ちたまんまになってたボールを手に取った。
「攻守変えてもっかいやろーぜ。負けたまんまじゃ終われねぇ。」
今度は先輩が攻めになって1on1をやった。そしたら先輩の勝ち。
決着つかないから他の部員が来るまで続けたが、取られたら取り返しが続き、永遠に決まらず、部活開始時間になってしまった………