第8章 お招き
「美味しいですね」
「ありがとうございます」
2人で会話をしながら食事をする。
美味しいけど…やっぱり安室さんの料理の方が美味しい、
私は胃袋まで掴まれているんだな、と1人気づく。
「「ご馳走様でした」」
食べ終わり、食器を片付けようとした所で冷蔵庫に入った存在を思い出す。
「あ、!安室さん実は」
私は冷蔵庫を開け奥の方からカップケーキを2つ取り出す。
「今日友達の家に持って行くついでに安室さんの分も作ったので一緒に食べませんか?」
「いいんですか、嬉しいです」
テーブルを綺麗にしてから2人でカップケーキを口にする。
「やっぱり美味しいですね、これ」
「作るのはほんとに簡単なんですけどね」
「でも僕が作ってもこんな美味しくは出来ませんよ」
「前に食べた時、同じ味でしたよ?」
「なにか違うんですよ、カホさんのとは」
同じだと思うけど
何でしょうね、と安室さんは目の前のカップケーキを真剣に見つめる。
それがなんか可笑しくて思わず笑ってしまう。
「ふふ」
「なんで笑うんですか」
「いや、そんな真剣にならなくても」
「僕は真面目に考えていたんですよ」
「それならごめんなさい、ふふ」
私が笑うのを止められず、安室さんは段々と顔をしかめる。
「「カホさん…」
ガタッと音がしてどうしたのかと思うと安室さんはテーブルに前のめりになって私に近づく。
私の顎を掴んで上を向かせ、安室さんの綺麗な顔が目の前に映ったと思った時、安室さんは私の唇を舌でペロッと舐めた。
「…っ」
安室さんはふっと得意気に笑って
「これで笑わなくなりましたね」
と言った。
「きゅ、急にすることないじゃないですか」
「急にしないと止まらないでしょ?」
安室さんはまたカップケーキを食べ始める。
私はなんだか恥ずかしくなって目の前のカップケーキを無我夢中で食べていた。
「お風呂一緒に入りませんか?」
そう言われたのは安室さんが食器を洗い終えたころ。
「どうしてですか?」
「僕がカホさんと一緒に入りたくて」
「別にいいですけど…」
一緒に入るのは初めてでは無いが、明るい場所で裸を見せるというのは躊躇うものがある。
でも久しぶりだしいいか、私は浴室へと向かった。