第8章 お招き
パーティーから何日かたった後、沖矢さんから連絡が来た。
─私の家に遊びにきませんか─
そう言えば、遊びに来てほしいと言っていた気がする。
今までのお礼をするにも丁度いい機会だ。
─是非、行かせてもらいます─
その後日程などが決まり、私は何をお礼に持っていこうかと悩んだ。
沖矢さんは何が似合うんだろう。
大学院生って言ってたし、何か実用的な物の方がいいのかな。
歳は同じなのに、性別が違うだけあって全く分からない。
そもそも沖矢さんの好みを私は知らない。
うーん、と考えて何かお菓子でも作ろうか、と思った。
あ、確か沖矢さん…。
私は彼の言葉を思い出し、頭に1つの案が浮かんだ。
沖矢さんのお宅に訪れる日。
なんだか私は緊張してしまって、いつもよりメイクが濃くなってしまった。
だって助けてもらった内容も内容だし。
あまり考えないようにしていたが、いざ思い出してみるとあれは本当にお見苦しい姿をお見せしてしまった。
沖矢さんの家の前に立って思うのはまず、
大きい
というかここに住んでいたのか。
こんなに広かったら誰かご家族と暮らしているのかもしれない。
ふと表札を見ると「工藤」と書かれていた。
え、沖矢じゃないの?
疑問に思うも、彼は養子なのかもしれないなどと勝手に考えてしまい深く追求するのはよそうと思った。
─ピーンポーン─
「はい」
「七瀬です」
「カホさん、待ってましたよ。今開けますね」
しばらくして玄関から沖矢さんが出てきた。
「どうぞ入って下さい」
「お邪魔します」
そのまま中に入り、私はキョロキョロと周りを見回す。
何個部屋があるんだ。
外から見てなんとなく予想はしていたが、やはり中も広い。
家の中で迷ってしまいそうだ。
「ここです」
扉を開けられたそこはリビングだった。
なんだかどこに座っていいのか分からずおろおろとしてしまう。
「お好きな所に座ってもらってかまいませんよ」
沖矢さんにそう言われ、とりあえずソファに座る。
ふかふかだ
多分これもいいお値段がするんだろう
「何か飲めない物はありますか?」
「いえ、特にないです」
そう答えると沖矢さんはキッチンへと向かう。