第7章 願望
抱きしめ合ったまま長い口付けを交わす2人。
お互い目を瞑って余韻に浸りながら何かを感じ合うようにキスをしていた。
どちらかともなく唇を離す。
安室はカホの膣内から自身を抜いた。
2人の行為はいつも必ず避妊具をつけていた。
2人がただの"恋人"のままでいられるように、
カホは体力も残ってなく、そのまま安室のベッドに横になった。
安室はカホに毛布を掛けてあげた。
「おやすみなさい」
そう言って安室はカホの額にキスを落とした。
カホは安室がシャワーを浴びに部屋を出た後、1人天井を見上げていた。
彼とのセックスは嫌いじゃない、
むしろ好きだ。
その時は自分だけを見てくれていると思えるし、自分の中で感じてくれているというのは行為の中でしか分かりえない。
彼は行為の時にキスを何度もする。
それが私を本当は愛してくれているんじゃないかと自惚れさせる。
だからそんな時に、好きです、なんて言われると気持ちが溢れそうになる。
嬉しい、嬉しいに決まってる…
もしそれが彼の本音だったら。
セックスというのは不思議なもの。
普段絶対口に出来ないようなこともその時なら口に出せる。
だからその時だけが私が本当に正直になれる瞬間。
好き、なんて普段から彼に言いたい。
私がどれほど彼を愛しているかわかってほしい。
監視下に置かれながら彼に好意を抱いてしまった。
こんなこと絶対に言えなかった。
気づかれたら最後、彼との繋がりはなくなる。
もう大切な人は作らないと決めたのに
"彼"とはもう会えない
なら別の人を好きになっても、自分だけの秘密にすれば罰は当たらないんじゃないか。
少し優しくされただけでこんなになるなんて、ほんとに馬鹿ね
カホは目を細めた。
まだ少しベッドには熱が残っている。
彼女はその温もりを感じて眠りについた。
安室はシャワーにうたれながら彼女の余韻に浸っていた。
─好きっ、安室さんっ─
彼女は行為の時にしかそれを口にしない。
普段はそういう仕草もしないしどちらかというとそれを避けているような気もする。